楕円の恋。
やはり相手もベスト4まで残る強豪校。

そう簡単に点数を許してくれない。

何度も相手陣に攻めるがもうちょっとでトライが取れない。

『ねぇ涼ちゃん。後時間どれくらいなの?』

あかりちゃんが聞いてきた。

『高校の試合は30分ハーフだから、後5分ないくらいだと思う』

私はドキドキが止まらなかった。

その時だった。

漆黒の10番が抜け出した。

『行けー!!!』

観客席が湧いた。

『影山君ー!!行けー!!』

私は無意識に立って叫んでいた。

相手のトライの線付近で人が密集していた。

どうなの?

トライなの?

トライになってー!!

私は心の中で祈った。

『ピーッ』

審判が手を上げて笛を吹く。

その瞬間

観客席がわーっと今日1番の歓声を上げた。

『やった!やった!』

私もぴょんぴょん跳ねて喜んだ。

圭子ちゃんは満面の笑みで拍手をしていた。

あかりちゃんは少し泣きそうな顔で拍手をしていた。

その後、私達は手を取り合って喜んだ。

電光掲示板が5-3へと切り替わった。

選手達がセンターラインに集まって喜んでいる。

その中で影山君は相手陣でボールを持っていた。

『あっ。トライの後のボーナスキックだ』

影山君は頭の帽子みたいものを取り、ボールをゆっくり地面に立てると少し助走をして右足を振り抜いた。

影山君の蹴ったボールはゆっくりゆっくりと放物線を描いてポールの間に吸い込まれていった。

そして影山君は小さくガッツポーズをしていた。

その後すぐ、

『ピ、ピ、ピ、ピーッ』

笛の音が響いた。

選手達が喜んだ。

観客席もわいた。

試合終了だ。

電光掲示板には7-3と刻まれていた。
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