楕円の恋。
『みんな引いたか〜?いくぞせーの!オープン!』

先生の掛け声で一斉にクラス全員がくじを開く。

『やったー!後ろの方だ!』

『あー1番前だよ』

みんな一喜一憂していた。

あっ。私廊下側の後ろから2番目だ。

ちょうど窓際から反対方向に移った形だった。

『今井さんどこになった?』

影山君が聞いてくる。

『私廊下側の後ろから2番目。やや好位置。影山君は?』

私は影山君にピースした。

影山君は少しびっくりした表情から笑顔になり、私にくじを見せてきた。

『俺その後ろ。ねっ。8割くらい席取り戻したでしょ?』

私も最初びっくりしたが、すぐに笑顔になった。

『え〜半分くらいじゃない?これからの季節廊下側寒いじゃん』

『窓際も寒いじゃん。一緒だよ。』

『窓際は太陽が当たって暖かくて気持ちいいの』

『じゃあ廊下側の方が授業中寝なくていいね』

2人でクスクス笑いあった。

『みんな場所わかったかー。そしたら移動しろーっ。』

先生の声が教室に響く。

私達は一斉に新しい席へと移動した。

『涼ちゃん。私ここだよ』

あかりちゃんが影山君の隣の席に座って手を振っていた。

『影山君もよろしくね。』

あかりちゃんのキュートなスマイルが炸裂した。

『お、おぅ。よろしく』

影山君はあかりちゃんのスマイルに照れているようだった。

『先生!私の懲役はいつ終わるのですか!?』

圭子ちゃんの大きい声が教室に響いた。

『お前はほんとくじ運ないな。いっそ3月終わるまでその席でいいんじゃないか?』

クラス全員が大爆笑した。

圭子ちゃんは席を動くことができず、またゴールデンシートの住人となった。

私もあかりちゃんも影山君も大笑いした。
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