楕円の恋。
『さっボーリングしよーぜー』

田中先輩がキャッキャしながら言う。

『みんなここ飲み物置いとくから好きなのとってよ。女の子から先ね〜』

大野先輩が両手いっぱいに缶ジュースを持ってきてテーブルの上に並べる。

『あ、ありがとうございます』

私はお礼を言ってオレンジジュースを取った。

『じゃあ俺から行くね〜』

田中先輩は左手をグルグルしてボールを持った。

ゆったりとしたフォームから早いボールが投げられた。

パーン!

ボールが当たったピンは大きく弾けて全て倒れた。

『しゃーっ』

田中先輩は小さくガッツポーズをして、笑顔でみんなにハイタッチを求めた。

やっぱりイケメンは絵になるな。私はそんな事を思いながら、田中先輩とハイタッチした。

『はい、次片桐〜』

田中先輩の呼び掛けに、片桐先輩はダルそうに腰を上げ、ボールを持ってレーンに立った。

シュッと投げると、ボールがピンを全て弾き倒した。

片桐先輩は無言で小さくガッツポーズした。

『片桐〜ハイタッチ〜』

田中先輩がそう言うと、片桐先輩は少し照れながら、みんなとハイタッチした。

『お前ら、上手すぎだよ。』

大野先輩は少し苦笑いでボールを持った。

『大野先輩負けるな〜』

私は大野先輩にエールを送った。

『はは、ありがと。目標8本!』

そう言うと、大野先輩は大きく後ろへ振りかぶって投げると、ボールは右端の1本だけ倒した。

『大野!らしくない!らしくない!』

片桐先輩が笑顔でヤジる。

田中先輩も手を叩いて笑う。

『大野先輩!リラックスリラックス!』

私も笑顔でヤジる。

『力み過ぎた。』

大野先輩は頭をかきながら、苦笑いで右手をハンドドライヤーに置いた。

『さっ仕切り直し仕切り直し』

大野先輩はそう言うとシュッとボールを投げた。

ピンは真ん中に行き、残りの9本をなぎ倒した。

大野先輩は振り返り、両手でセーフのジェスチャーをした。

『お〜ぉ』

みんなで拍手をした。

『俺だけ、カッコ悪いのやだよ』

大野先輩は少年の様な笑顔でハイタッチしてきた。
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