そのキスで、忘れさせて






そう思っていたのに……




ガチャリ……




扉の開く音がした。

そして、リビングに入ってきた遥希は、あたしを見て固まった。

……本当に、文字通り固まっていた。





白いフローリングにうずくまるあたし。

捻った手首を押さえ、痛みに顔を歪めていた。








「……聞いていいか?」




遥希は低い声で。

ゆっくり頷くあたし。




「……何があったんだ」




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