そのキスで、忘れさせて
全く知らない人だから、すごく迷った。
警戒されるだろうし、下手したら変質者と思われるかも。
だけど……
駄目元で声をかけてしまった。
「あの……料理出来るんですか?」
彼は少し驚いてあたしを見た。
だけどあたしはもっと驚いてしまって。
心臓が止まるかと思った。
そして、真っ赤な顔で彼を見つめる。
だって、たくさんの食材を持ってエレベーターに乗っていたのは……
なんと、Fのドラマーの玄だったから。