ドメスティック・ラブ
「大体今は連絡取る手段だっていくらでもあるし、寂しくなったりまっちゃんへの不満や愚痴が聞いてほしくなったらすぐ連絡しておいで。話聞くからさ。もちろん私もガンガン慣れない生活のストレスとかしまっちに言って発散するつもりだったよ」
無言のまま頷く私の肩をさとみんは軽く叩いて、残りが三分の一程度になった私のグラスを渡してくる。すでに結構炭酸は抜けているはずのハイボールの刺激を心なしか強く感じたけれど、そのまま一気に飲み込んだ。
確かにさとみんの言う通りで、音信不通になるわけじゃない。時差はあるけど、さとみんが専業主婦になるなら連絡は意外と取りやすいかもしれない。今だって仕事が立て込んでたら中々予定合わずに先送りになる事だってあるんだし。
「何で俺の不満や愚痴って決めつけるんだよ」
「基本しまっちって能天気だから嫌な事あっても一晩寝たら流せるタイプじゃん。でも結婚前後とかまっちゃんの件に関しては色々上がったり下がったりしてるみたいだから」
さとみんのニヤニヤ笑いにまっちゃんが肩をすくめてみせる。
まださとみんには昨日の夜のあれこれは言ってない。あれである程度解決したような気がしなくもないけれど、きっとこれからも愚痴や悩みを聞いてほしくなる事はあるんだろう。もちろんさとみんが話したい事があるなら私だっていくらでも聞く。
「てか俺らに会いたい時は素直にそう言えよー。そりゃ都合つかないやつもいるだろうけど、なんだかんだ学生時代の友達に会って飲んでストレス発散したいって思ってるやつは多いんだからさ。でなきゃ今ちゃん宴会の時もあんなに人集まらないって」
確かにこの間の出席率は凄かった。当初の予想より規模が大きくなって、会場探すのに苦労したって言ってたっけ。