失礼男の攻略法
言いたいことはわかるものの、全然わかりたくなんかない。
「ちょっと、直樹さん。冷静になりましょうか」
「僕は冷静だよ。冷静になるのは千秋ちゃんでしょ」
ひとりお代わりを頼みながら、しれっと言う直樹さんに頭が痛くなる。あぁ、やっぱりこの人厄介だ。
「私が直樹さんの人生を左右しちゃったっていうのはわかりますし、非常に申し訳なく思うんですが、それってタイミングだけの問題で、直樹さん元々こちら戻られる気だって言ってたじゃないですか」
なんとか頭をフル回転させて反論すると
「タイミングって重要じゃない?気にいってる子いるんだけど、このタイミングで日本に連れて来るほどでもないしさ。もうちょっと向こうで関係つくってから結婚とか考えれればなって思ってたんだよね」
ジャズ演奏がはじまったステージに目を向けながらそういう直樹さんの横顔がちょっとだけだけど淋しそうに見えて、心が痛む。
「所長に、こっち戻るタイミングの相談しましょうよ。私からもお話ししますし」
焦ってそう言うと
「そんなの、あの狸親父が聞くと思う?」
つまんなそうに言われてしまった。