失礼男の攻略法

相手は、あの狸親父の甥っ子さん。

気に入ったってばれたら、すごい勢いで直樹さんが跡を継ぐための駒にされちゃいそうだし、そもそも、この人「今、この瞬間を楽しむ」って何気に最低なこと言ってなかったっけ?

当分日本に戻って来る気もなさそうだし、これは遊びたいだけに違いない。


流されちゃいけない。

ここは、撤退だ。


そう結論を出して、イスに深く座り直した。

私の体勢が変わったことを察したのか、直樹さんがこちらに目を向けている間に、グラスに残っていたカクテルを一気に飲み干した。そしてグラスをゆっくりと置きながら

「すみません。気になる案件残したままだったこと思い出しちゃったので、事務所戻ります。ご馳走様、でいいですか?」

まっすぐに目を合わせて問いかけると、くしゃっと今日見た中で一番好きだなって思う笑い顔を見せてくれた。

「さすが、叔父さんが見込むだけのことはある。また、こっちかえって来た時、一緒に飲んでよ」

そう言って連絡先を交換させられた。
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