失礼男の攻略法

ムッとしながらも、隠すほどでもないなと思って

「所長にだまし討ちされて、自慢の甥っ子さんとお食事でした」

抑揚なくと言うと

「あぁ、里中さん?」

意外にも知ってるようだ。なんでだろう、という疑問が顔に出ていたのか

「うちのアメリカ法人の顧問だよ」

さらっと意外なつながりを教えてくれた。

「なるほど。やっぱり直樹さんやり手なんだね」

あの年でYGの顧問やってるってことは相当な切れ者なんだろうなって改めて思う。そして、そりゃそれだけ大きな仕事してたらまだ日本になんて帰ってきたくもないだろうなって、直樹さんの言葉を思い出す。

すると

「で、どうだったの?里中さんだったら悪くないけど、逆にお前が相手にされないんじゃないの?」

ちょっとバカにしたように言ってくる。イラッとして

「いいえ。一夜の相手くらいにはなるみたいですよ」

他人行儀に言ってみると

「おまえっ」

慌てたようにもたれていたソファーからおもむろに身体を起こす兄。
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