失礼男の攻略法
「いえ、どうやら直樹さんのような大人の魅力あふれる方には、私なんて一夜のお相手くらいにしか思っていただけてないようなので」
にっこりと笑みをつくって言ってやると所長の顔色が一瞬かわった。ざまーみろ、と思いながら
「力不足で申し訳ありません」
追い打ちをかけるように頭を下げる。一瞬の間をあけて
「いえいえいえ、直樹は何を考えてるんだか」
困ったような所長の声が耳に入る。
「きっと直樹さんには、私なんかよりも、もっと相応しい方がいらっしゃると思いますので」
これで話は終わりだと、もう一度笑みをつくって一歩前に出る。
すると所長も、こちらの意図を君くれたようで
「仕事中にすまなかったね」
と言って、ようやく執務室を後にしてくれた。
その背中を見送りながら、はぁ、と大きなため息が出てしまう。