失礼男の攻略法

これは計画というよりも叔父心なんだろうな、とも思うけど、その言葉通りに受け止めるわけにはいかない。

「いえいえ、私なんて直樹さんのお相手なんて務まりませんよ」

首を横に振ると

「そんなことありませんよ。若いのに仕事もしっかりされて、キレイで、ご家もしっかりしてらっしゃる。むしろ直樹の方が、千秋先生に相応しいのか・・・」

ちょっと目を落としながら話す所長の言葉にギョっとしてしまった。

そして、所長から紡ぎ出された言葉で、今回のよくわからないお見合いもどきに秘められた所長の狙いがわかってしまったのだ。

所長は私がＹＧの娘だと知っていて、直樹さんとくっつけたがってたんだと。

入所の書類では、家族は母親だけだと申告していたのに。なんで私を直樹さんにすすめるのか理由が正直よくわからなかった。ただ事務所で適当なのが私しかいないからだろうか、くらいに思っていたけど、違ったんだ。

ＹＧの後ろ盾があれば、色んな企業とのつながりができて事務所も安泰だろう、とでも考えたのか・・・。


この狸親父め、と心の中で大きく毒づきながらも、これで私の出方は決まった。