失礼男の攻略法
鬱になって会社を辞めさせられた元社員の方から訴えられた企業側の担当弁護士として、原告との和解交渉の場が今日だったのだ。
なんとか原告側と条件が折り合って、依頼主としても納得できる落としどころだったのに・・・。
「いやぁ、ダメ社員に2000万って。これまでも会社にそんな利益だしてないくせに、これじゃぁ病気になったもん勝ちだねぇ」
今後の打合せをしようと入った会議室で、開口一番、メタボなお腹を抱えた企業の担当役員が口にした言葉がこれだった。
そしてそれに続いて、腰ぎんちゃくみたいな頭の薄い担当者が
「ほんとですよね。私たちがどれだけ頑張って利益だしても、一部のダメなやつらに吸い取られるかと思うと、やってられないですよね」
のっかるようなことを言い始める。
人を駒としてしか扱っていないような物言いにカチンときて
「今回の案件は裁判になると負ける確率が高かったので和解に応じていただいただけ、非常にありがたかったかと」
そこまで言うと、腰ぎんちゃくが、まぁまぁというように口を開く。