失礼男の攻略法

「まぁ、先生には世話になったよ。でも、あの今後の対策をするっていう和解条件は厄介だね」

そもそも明らかに違法な状態の勤務状況に、上司からのパワハラまがいのメールなんて証拠も残っていた、とてつもなく不利な案件だった。

だけど “もう二度と自分のような思いをする人がでないように”という原告の強い思いがあって、会社として過度な残業をさせない体制をつくる、ということを条件として、和解に合意してくれたのだ。

ようは企業として、もうちょっとちゃんとしようよ、ということだったんだけど。

「なんなら入社するときに、“会社を訴えません”て一筆書かせたらどうかね」

冗談にもならないことをいう役員に、わっはっはと笑いながら

「それはいいですね。ダメ社員のフルイにもなりますし」

調子よく話を合わせる担当者。


こいつら、ロクなやつらじゃないな。

自分にとって利益になる人間か、そうでない人間か、それでしか人を判断してないのだ。
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