失礼男の攻略法

だけど、失礼男が紡ぎ出した言葉は、意外にも悪い評価ではなくって。

「いい酒知ってる証拠だよね~」

本当に思ったことを言ったまで、という感じだった。

こうやって勝手に人の言葉の裏を考えて一喜一憂するのは私の悪い癖だなと、ちょっと反省する。だけど、今日はこの失礼男と会話を楽しむような気分でもないのだ。

返事をせずにウイスキーを味わっていると、横からじっと視線を感じる。それに居心地が悪くて私も視線を向けてしまうと、こちらを観察するように眺めている失礼男が口を開いた。

「なんか妹ちゃんって、戦ってる、って感じだよね」

意味がつかめずに顔をしかめていると

「隆太郎の妹なんだったらさ、もっと楽に生きる方法なんていっぱいありそうなのに」

カウンターに肘をついたまま、ぽつりとつぶやかれる。

失礼男から放たれる言葉はいちいち私の予想を裏切ってくるので、頭の中で処理が追い付かない。

“楽に生きる?”って何だ?

それがそのまま口からこぼれていたようで。
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