いつの間にか、溺愛。
私の視線が彼にも伝わったらしく彼とバチっと目が合ってしまった。

あっ。

と思った瞬間、あからさまに顔を下に背けた。

………思春期の女子高生か、私は。

たかがタイプの男性と目が合ったからって、なんとも態度の悪い事。

だからと言って今、顔をあげる勇気もない。

私はきっと側から見たら銅像のように固まっているのだろうな。

はあ… とわかりやすく溜息をつき項垂れた。

不甲斐ない。

そろそろ恋愛したいんじゃないの?

………なんて、一人で自問自答なんかしてて。


「ーーーあの、大丈夫ですか?」

何の気なしに声をかけられふと顔をあげると、

ッ!?

先ほどの彼が何とも心配そうに私を見ている。

「あっ、……は、はい。」

「気分悪いとか?誰か呼びましょうか?」

いやいや、どんだけ人がいいんだよ。

初めてこんな事されたけど、心配がられるのってこんなに嬉しいだなんて。

こちらは至って元気、通常運転で逆に申し訳ない。

「す、すみません… 大丈夫です。ありがとうございますっ……」

居た堪れなくなりバッと立ち上がり一礼をしてその場を離れた。


ーーー撃沈。しかも、2回目。

私ってこんなキャラだったっけ?

年々、男性と触れ合えなくなるとこうも人見知りしている。

彼の優しさを受取る度量がない。

はあ〜 と本日何回目になるだろうか溜息をついた。

彼はクール系ではなく癒し系だったな。

私の読みは外れたか。

イケメンと話せただけでも、干からびている私にとってはラッキーだ。

……という事にしておこう。

< 6 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop