いつの間にか、溺愛。
「ねぇ、お姉さんは名前なんて言うのー?」

ベロンベロンに酔ってらっしゃる方からの絡み。

「え、えっと… 南里です」

「ミナミザトさん?じゃなくて下の名前は〜?」

「……鈴、です」

「スズちゃんかぁ〜 かーわいっ。」

最悪。

面倒な人に捕まってしまった。

「ねぇね〜、それジュース?せっかくならお酒飲んだら〜」

「……大丈夫です。」

車で来とんじゃ、ボケ。

軽く心の中で一人ツッコミしていると、

「祐樹、辞めとけ。嫌われるぞ」

「お〜!蒼っ、お前も飲め飲め〜!」

祐樹(ユウキ)という酔っ払いと私の間に割って座ってきた人物。

「ごめんね。こいつ酔ったら面倒なんだ」

「……はぁ…」

まさかの展開。

私の気になる人が真横、てか目の前にいる。

「祐樹、あっちでお前呼ばれてたぞ?」

「お?マジで?俺、人気者だからな〜」

ハイテンションな彼はお酒片手に行ってしまった。

「あ、あのぉ… ありがとうございます」

「いーえ。それより体調は大丈夫?」

「え?」

「いや、さっき式場で…… 」

「あっ… 先程はありがとうございました。見ての通り、いたって元気です」

「なら、良かった。なんかボーッとしてたから気分悪いのかと思ったよ」

「おっしゃる通り、ただボーッとしてただけでして……」

「……ふふっ。鈴ちゃんだっけ?もしかして天然?」

「マイペース……、とは言われるけど?」

「うん。そんな気がする」

「えっと… 私、褒められてます?」

「ふっ。褒めてるよ?」

ははっ、と笑った顔はクシャッとして可愛らしかった。

でも、なんか最近の印象と違う気がする。

もっと癒し系な男子かと思ってたけど、結構喋るし気さくな感じ?
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