10年愛してくれた君へ【続編】※おまけ更新中
「お前と竹内がどういう付き合いしているか、なんとなく見えた。お前らお互いに固執してないか?」


固執?お互いがお互いを縛り付けているとでも言いたいの?


突然現れた人に決めつけのように言って欲しくない。


「そんなことありません。ちゃんとお互いを尊重してます」


「尊重?恋人関係は尊重だけで成り立つとでも思ってんのか?」


よく"相手の好きなところ"の答えに"尊敬できる"とある。良い関係を築いていくためにそれは必要なことだと思う。


だからそれを否定する人物がいることに驚いた。


「相手を尊重することは大切なことです」


「…なんか、綺麗事ばっかりでムカつくわ。お前は本当の恋人関係をわかっていない」


「何が言いたいんですか」


そう言うと、山下さんはゆっくりと立ち上がって私の隣にやって来てそばに座った。


触れそうで触れないこの距離感に今は恐怖しか感じない。


「例えば…」


「っ!!??」


口を手で押さえられ、首筋に顔を埋めてきた。初めての感覚に体が凍りつくように動かない。


…怖い!!


思い切り体を剥がそうと押すがビクともしない。

山下さんの手は私の体を撫で回す。



「やっ…」


口を押さえられながらも必死に声を出そうとするが、首筋に感じたピリッとした痛みにそれができなかった。


「恋人はこういうこともするんだよ。お前らしてるか?」


「っ!!」


春兄は私を大切にしてくれている。私のペースに合わせてくれると言っていた。もちろんいつかは…そう思っていたけれど、実際にされると"恐怖"にも感じてしまった。


相手は山下さんで、春兄ではない。


恐怖に感じるか感じないかはそこの違いだと思ってはいるものの、その行為自体に恐怖を感じた。


「…これが竹内なら、お前は耐えられるのか?」


耳元に掛かる山下さんの吐息に体がビクッとした。


「…めて!!」


山下さんの頬を叩いた。ようやく離れた山下さんは、私に叩かれた頬を片手で撫で、無表情な顔を私に向けてくる。


こんな時にも表情を崩さない彼は本当に人間なのだろうか。


怖い…怖い…怖い!!



少し乱れた服装を整える余裕もなく、私は立ち上がった。


貸しをしたらまた付きまとわれる…


そう思い、奢ると言った山下さんの言葉を無視してお金をテーブルに置いた。


「もう…関わらないでください」


震える声で静かにそう言い、個室を飛び出した。
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