10年愛してくれた君へ【続編】※おまけ更新中
私を見つけた春兄がフロントガラス越しに微笑むのがわかる。
「春兄!!」
助手席を開けると、春兄の車の柔らかな芳香剤の香りが鼻腔に広がった。
「お疲れ様」
「わざわざありがとうね!迎えに来てもらって」
「藍に会いたかったから」
ふんわりと笑う春兄。その笑顔に今日あった嫌なことなんて一瞬で忘れてしまう。
でも、春兄に言うべきことがあるんだ。
もう隠し事は一切しない、そう誓った。
「あのさ、春兄」
シートベルトをカチッと締める。ハンドブレーキに手を掛けようとした春兄は、顔だけをこちらに向けた。
「ん?どした?」
「じ、実は…今日、バイト前に駅のエスカレーターのところで、と、盗撮?されてたみたいで。スカートの中を」
「…え」
笑みが消えた。沈黙が続く車内。言うべきことだったけれど、余計な心配はかけたくなくてわざとらしく明るい声で言葉を繋げた。
「あ、でもたまたま山下さんがいて、その男の人取り押さえて警察も来たから全然大丈夫だったんだけど!!山下さんが、春兄にはちゃんと言っておいた方がいいって言われたから、言ったんだけど…」
様子を伺うように顔を覗き込む。すると春兄は小さく溜息をついた。
「ごめん、守ってやらなくて」
「え、春兄?」
苦しそうな表情が浮かんでいる。次の瞬間、駅前のロータリーなのにも関わらず、春兄は私の体を抱き寄せた。
「ちょ、春兄!?」
「今回ばかりは山下に感謝しないとな。怖かったろ?」
春兄の腕の中でゆっくりと頷く。すると私を抱きしめる腕に力が入るのがわかった。
しばらくその状態が続き、やっと体が離れたと思ったらじっと見つめられる。艶やかなその表情に、いつも見慣れている春兄の顔なのに、心拍数が上がった。
お互い何を言うわけでもなく、自然と目を閉じ唇を近づけた。
「春兄!!」
助手席を開けると、春兄の車の柔らかな芳香剤の香りが鼻腔に広がった。
「お疲れ様」
「わざわざありがとうね!迎えに来てもらって」
「藍に会いたかったから」
ふんわりと笑う春兄。その笑顔に今日あった嫌なことなんて一瞬で忘れてしまう。
でも、春兄に言うべきことがあるんだ。
もう隠し事は一切しない、そう誓った。
「あのさ、春兄」
シートベルトをカチッと締める。ハンドブレーキに手を掛けようとした春兄は、顔だけをこちらに向けた。
「ん?どした?」
「じ、実は…今日、バイト前に駅のエスカレーターのところで、と、盗撮?されてたみたいで。スカートの中を」
「…え」
笑みが消えた。沈黙が続く車内。言うべきことだったけれど、余計な心配はかけたくなくてわざとらしく明るい声で言葉を繋げた。
「あ、でもたまたま山下さんがいて、その男の人取り押さえて警察も来たから全然大丈夫だったんだけど!!山下さんが、春兄にはちゃんと言っておいた方がいいって言われたから、言ったんだけど…」
様子を伺うように顔を覗き込む。すると春兄は小さく溜息をついた。
「ごめん、守ってやらなくて」
「え、春兄?」
苦しそうな表情が浮かんでいる。次の瞬間、駅前のロータリーなのにも関わらず、春兄は私の体を抱き寄せた。
「ちょ、春兄!?」
「今回ばかりは山下に感謝しないとな。怖かったろ?」
春兄の腕の中でゆっくりと頷く。すると私を抱きしめる腕に力が入るのがわかった。
しばらくその状態が続き、やっと体が離れたと思ったらじっと見つめられる。艶やかなその表情に、いつも見慣れている春兄の顔なのに、心拍数が上がった。
お互い何を言うわけでもなく、自然と目を閉じ唇を近づけた。