10年愛してくれた君へ【続編】※おまけ更新中
「じゃあ、俺帰るから」


山下さんは手を上げ背中を向けて歩き出す。その後ろ姿に何度も"ありがとう"と呟いた。




数十分遅れで出勤した私に最初に最初に気づいて声を掛けてきたのは店長だった。


「鵜崎さん!!大丈夫だったの!?」


いつもはのんびり屋な店長が早口で喋っているところを初めて見た気がする。


「はい、なんとか」


眉を八の字にし困ったような笑みを向けた。『お騒がせしました』と深く頭を下げる。



「お疲れ様です、お願いします」


私の声にバイトは振り向き応える。頬を軽くパチンと叩いて気合いを入れたのち、念入りに手を洗って仕事に取り掛かった。





なんとかその日の業務を終え、従業員口を出たところでカバンに入れてあった携帯が鳴った。


暗闇の中ガサゴソとカバンを漁り、やっと見つけた携帯の画面を見ると、春兄の名前が表示されていた。


「も、もしもし春兄?」


『藍、今日バイト?』


「うん、終わって今帰るところだよ!」


『そっか、丁度車で出掛けていたところでさ。迎えに行くよ』


迎え!?春兄の車に乗るの物凄く久々だな。


嬉しさで一人にやけていると、後から出てきたバイトの女の子に不思議そうな目で見られた。


やばいやばい、不審者じゃん。



「い、いいの!?」


『当たり前だろ?すぐ着くから駅前のロータリー周辺で待ってて』


春兄に言われた通りロータリーのところまで足を進める。この時間だと居酒屋のキャッチが多い。


春兄の車はすぐにやって来た。他にもお迎えの車が多く停まっている中、混雑していないところで停止したのを確認してそちらに駆け寄った。
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