片翼の運命

アンバーの瞳の色が、静かに燃えていた。

わたしは初めて、狂気というものを知った。

「それとも、この翼、切り落としてくれば良い?」

怖かった。正直に言うと、とても。

今まで遠くから見ていた慧斗は、人に囲まれて笑っていて、素敵な容姿を持っていて、恵まれていた。

大きく開いた黒い翼が、わたしを月光から遮る。

透けて見える血管と骨。片方しかない翼。

その大きな翼に掴まったら、最期。

「そんなの、知らない!」

結果、逃げました。
ええ、全速力で。





夏菜子が変な顔をしている。

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