片翼の運命
とわたしだけが思っていて、もしかしたら慧斗が裏で一人ずつ呼び出しているのかもしれない。
なんてことを少しだけ思う。
翼を切り落とすと言ってくるよりは、少しだけ平和な方かな。
自分の判断もかなり偏り始めてはいるけれど。
慧斗が急に止まってこちらに顔を近づけた。すん、とわたしの耳横の匂いを嗅ぐ。
「な、なに?」
「なんか船川の匂いする」
そう言って腕を伸ばして抱きしめられる。あの、路上なんですけど。
項に柔く噛みつかれ、驚いて固まる。
こういうのは、未だ慣れない。
「……席近いからね」
言い訳にもならないような言い訳が口から出る。