片翼の運命
そちらに顔を向けようとすると、夏菜子が私の頬を両手で押さえてきた。
にゅ、とあらぬ声が出る。口がたこのようになっていた。
「これすると、ボール沢山飛ばせるの。おまじない、ね! 船川!」
「あれ、望月じゃね?」
フェンスによりかかっていた船川が先程夏菜子の見ていた方向を指して言う。
え。
「ばか」
「え、なんで」
夏菜子と船川のやりとりを傍で聞く。夏菜子の手はもう離れていた。
彼の周りに男女が集まっている。何よりそんなのがなくてもわたしは彼を見つけられる。
わたしを置いて、好き好む人間たちと一緒に先に行っていたらしい。