彼の本性、あたしの秘密
凪SIDE
蜜羽が出ていったドアをジッと見つめる。
「うぜーかなぁ…」
独り言のような、そうじゃないような変な言葉を漏らして、着替え始める。
いつも蜜羽は俺のことを心配する。
今だって、さっさと俺を置いて学校行けばいいのに。
俺はともかく蜜羽まで遅刻なんて…
うわ~蜜羽の母ちゃんに頭上がんねぇ~…
とか反省の色を見せつつ、俺は蜜羽の優しさに甘えてる。
目覚まし時計20個もあればさすがの俺でも起きる。
それでも寝たフリをしているのは、蜜羽と1分でも長く一緒にいたいから。
その感情がなんなのかは分からない。
でも、幼い頃から一緒だったあいつが居なくなるなんて信じられない。
つか、なんで俺あいつにキスしたんだ?
分かんねぇ~!
まあ、あいつ容姿はいいけどさ…。
幼なじみだからか?
うわ~俺余裕ねぇ!
「はあ…」
ため息を漏らし、制服を整えて部屋を出た。
また俺は演じなきゃならない。
いつまでこんなことが続くんだろう…と思いながら蜜羽の作った朝ごはんを食べる。
今日もただいつもと同じ日常が始まるだけ。