大切なもの【完結】
〝もう彩香バイト終わった?〟



帰ろうと歩き出したとき、悠貴からLINEが送られてくる。



〝終わった。でも四宮が毎日送ってるみたいで俺必要なかったから帰る〟



そう送って自分の家を目指す。

ここからはそう離れていないはずなのにどうしてこうと足取りが重いんだろう。

俺、最近彩香とちゃんと話してる?
学校でそりゃ話すけど、みんなもいるし。
全然2人の時間を作れてないよな。



「なーんか寂しいな」



彩香がバイトしてるって言ってくれりゃ毎日俺が送るからってそこで2人の時間を作れるのに。
言ってくれないからなにもできない。



「本当に俺のことが好きなのかな」



なんて翔が聞いたらこっぴどく怒られそうな考えまで浮かんでくる。
彩香のこと好きだった翔にとってこいういう考えは本当に腹が立つらしい。

でもさ、仕方なくね?
こんな状況じゃあ不安にもなるだろ。
俺のことちゃんと見てくれてないような感覚に襲われる。

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