大切なもの【完結】
「みんなで遊ぶの久々だなー」


「ほんと!彩香いないから1人足りないけど」



本当ならここに彩香もいて、全員が揃うんだ。



「俺だけ余り物じゃん」


「なにいってんだ!あ、行こう!彩香のバイト先!」


「いや、俺が知ってることバレたらまずいだろ」



何のために知らない振りをしてきたと思ってんだよ。
全部彩香のためなんだよ。
彩香のためじゃなかったらもう言ってる。



「店ん中には入んねぇから。ほら、放課後の彩香見に行こう」



言い出したら聞かないだろう翼だから



「…たく。わかったよ」



仕方なく彩香のバイト先に向かって歩き出す。



「見たくないんだけどなぁ…」



ぼそっと呟いた言葉は



「ん?」



香に届いてたみたいで。



「何でもない」



それだけ言って翼の隣に走る。

こんな汚い感情誰にも知られたくない。
悠貴だけで充分だよ。

嫉妬でたくさんなんて。

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