寄生虫
両腕
ひどく寝苦しかった。


寝る場所がいつもと違うからじゃない。


夜中になってからかゆみが強くなっていたのだ。


無意識の内に腕をかき、それに気が付いてハッと目が覚める。


血が出ていない事を確認して安心し、また浅い眠りにつく。


そんな事を繰り返していると朝が来ていた。


「なんだサナギ、ここで寝たのか」


お父さんのそんな声で意識が覚醒されていく。


目をあけると蛍光灯が眩しくて顔をしかめた。


まだ寝たりない。


そんな重たい体を無理矢理起こしてあたしは自分の腕を確認した。


その瞬間、息を飲んだ。


無意識の内にひっかいていたのは右腕だけじゃなく、左腕もだったのだ。
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