寄生虫
その通りだ。


自分の力で羽ばたくために、両親がその名前を付けた。


「あたしは……克哉と別れようと思ってる」


突然の言葉にあたしは反応できなかった。


グルリと体育館が一回転するようなめまいを覚える。


「どうして……?」


無意識の内にそんな言葉が口をついて出ていた。


学校公認のカップル。


障害なんてなにもなくて、いつも仲良しで、理想的な2人。


「あたしが克哉を変えちゃったから」


真尋の言葉が頭の中でガンガンとこだまする。


ひどい頭痛のように脳内を駆け巡り、吐き気さえ感じられる。


「そんなの……あたしも一緒だよ」


口の中が渇き、喉がヒリヒリと痛む。


嫌だ。


そんな3文字が脳内を駆け巡っている。


嫌だ。


別れないでほしい。


いつか、あたしと京介と真尋と克哉の4人でダブルデートに行くんだ。


それが、あたしの小さな憧れだった。


「あたし告白……するから」
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