寄生虫
あたしはヘマをしないよう、最初から慎重だった。


まず、ターゲットの決め方。


できるだけ目立たなくて、周りから期待もされていないパッとしない子がよかった。


そう言う子はなぜだかある程度までは我慢する所がある。


少しのかゆみ程度なら誰にも相談せずにいるだろう。


そして寄生場所。


あたしたちは小柳サナギの脳と、目と、両腕と、胴体と、両足にそれぞれ寄生していた。


そうする事で成虫になる前に小柳サナギの行動や思考回路をすべて把握することができるからだ。


菊谷克哉のように成虫になった途端性格が変わると怪しまれるのは当然のことだった。


人間に正体がバレる事はあたしたちにとって滅亡の危機にもなりえる。


だから、周囲に怪しまれないようにするため、ひたすら小柳サナギという人間を勉強していた。


そう……これは元から小柳サナギの物語ではない。


これは、小柳サナギを通して見ていた、あたしの物語だったのだ。


さぁ、これからがあたしたちの人生の幕開けよ。


窮屈な体を抜けだして自由を手に入れた。


ここからどこまででも飛び立っていく事ができる。


小柳サナギは蝶になりたがっていた。


それを叶えるのは……あたし。





END
< 195 / 195 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:60

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる

総文字数/8,948

恋愛(オフィスラブ)30ページ

第2回ベリーズ文庫デビュー応援コンテストエントリー中
表紙を見る
ゾンビ学園-鏡を見たらソレが感染する!?-

総文字数/76,205

ホラー・オカルト240ページ

表紙を見る
デス・ドール

総文字数/17,499

ホラー・オカルト60ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop