寄生虫
捨てる
どうにか気管のつっかえが取れたあたしは自室へと戻っていた。


話を聞いただけだと京介と室井さんはまだ付き合い始めてはいない様子だった。


でも、それもきっと時間の問題だろう。


右腕に薬を塗りながらあたしは悶々と考える。


もし2人が付き合う事になったら、休日デートとかに行くのだろうか。


克哉と真尋のように学校公認のカップルになって、2人で仲良く登下校するんだろうか。


そう考えると胃の中がムカムカして、吐き気を感じた。


京介の隣を歩く自分の姿をあたしは今まで何十回も、何百回も想像してきた。


いつかそんな関係になれたらいいな。


そう思いながら……思うだけで、過ごしてきた。


実際にあたしが行動した事と言えば、京介の登校時間にあわせて家を出る事くらいだった。


「ダメだ……」


あたしは薬を塗った上から腕をかきむしった。


前はすぐに効果が表れたのに、どうしてだかかゆみが治まらない。
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