寄生虫
右腕をかきながら、あたしはクローゼットを開けた。


中には昔から着ている服がかかっていて、その1つを手に取った。


1回着ると洗濯をしているけれど、次に着るまではずっとクローゼットにしまわれたままだ。


もしかしたら衣類にも沢山のダニやノミがひっついているのかもしれない。


そう考えると途端に首筋がゾクゾクと寒くなり、あたしは持っていた服を床に落とした。


それが火種になり、あたしは次から次へと洋服を床へ落として行った。


あれも汚い、これも汚い。


少し触れるだけで指先がかゆくなる気がする。


ダニやノミの原因が、あっちにもこっちにもある。


そう思うと我慢ができなくなっていた。


気が付けばクローゼットの中にあった洋服の半分をゴミ袋へと押し込んでいた。


随分と寂しくなってしまったクローゼットの中を見て、あたしは体の力を抜いた。


そのまま床に座り込み、ポリポリと右腕をかいた。


でもあたしはわかっていた。


足りなくなった服はまだ時間をかけて買い足せばいいことを。


そして、京介の件はこんな事じゃ解決しないことも……。
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