干物ハニーと冷酷ダーリン
「あー、黒崎さん。黒崎さんにもまだ言いたいことがあったんですよ!」
この隙に、俺も逃げ出そうと腰をあげると瞬時に川本の手によって浴衣の帯を押さえられた。
こいつ、化け物かよ。どこに目ついてんだ。
お前の方がこえーよ。
「水城さん!座ってて下さい!あのですね、黒崎さん、、、、」
言葉の合間合間にしゃっくりを混ぜながらも話を続けようとする川本は、何とも言い難い顔をしていた。
多分、苦しいのだと思う。
止めればいいものの、黒崎にどうしても言いたいのか、がっちり黒崎の腕も掴んでいた。
「あの、ですね!女には、、旅行に行ける日にちと言うものが、、ありまして!思い付きで旅行とかホント勘弁、、、して欲しいんですよ!」
『……あっ、もしかして川本、アレだった?』
さすが、成人男性である。
伊達に36年生きてはいない。
黒崎は、川本が言いたかった事を瞬時に理解した。その顔に恥じらいもへったくれもない。
「…アレですよ!アレ……生理。怠いし痛いし、、、酒を飲んでる場合じゃないんです!………温泉にも、入れないし」
『あー、ごめんなぁ。』
これでも経験豊富な36歳は、慣れた手つきで川本の腰あたりを擦り痛いのを少しでも逃がそうとする。
もはや、生理で冷やかす時代はとうに過ぎたのである。