干物ハニーと冷酷ダーリン


「いや、あの、薬飲んだので大丈夫です」


『ああ、そうなの?』


「はい、もうお酒も飲んだし、何がなんだかですけど、多分大丈夫です」


『そー。じゃあ、部屋に戻ろう』


「……いえ、大丈夫です!」



はっ?なにが?


明らかに、今部屋に戻る流れだっただろ。
黒崎も、逃れるチャンスが来たとやんわり誘導したとばかりに思っているはずなのに、この女は何を考えてる。


空気を読め。空気を。




『へっ?あ、でもほら!ここに居ても迷惑かかるし、取り敢えず部屋に戻ろうよ』


「んー?逃げるんですか、黒崎さん!」



『い、いや、違うよ。俺らが居たら片付けだって出来ないでしょ?』


「…そうですねぇ。なら出ましょう」




ふらっと立ち上がった川本は、その手にはしっかり焼酎の瓶を持っていた。


そして、今だに放さない俺の帯。


何故だ?





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