干物ハニーと冷酷ダーリン


『……それで、俺が諦めると?』



長谷川営業部長ばりに食らい付いてくる相崎さんは、もしかしたら大物なのかも。
あたしなら、すぐさま尻尾をまいて逃げる。


俺に構わず逃げろ!と言われたらあたしは素直に逃げるだろうとバトル漫画を読んで常日頃思っていた。

一緒に戦う事はしない。だって怖いんだもの。





『アンタもアホだな。俺はアンタの為に言ってんだ』




「は?」

『はっ?』




流石に、今の水城さんの言葉にはあたしも反応してしまった。
相崎さんとシンクロしてしまう羽目になったとしても、開いた口が塞がらない。


途中まで水城さんはあたしの味方だと思ってた。

この場を乗り切れるなら水城さんに着いていこうと仲間意識まで芽生えてたのに。

残念だ。非常に残念だよ、水城さん。




『そんな事あなたに言われる筋合いは、、、』


『ねぇよ。ねぇけど、教えてやるよ』


『……………』



『上っ面のコイツは、仕事が出来て美人でおまけにスタイルがいい。お前はそんな所に惚れたんだろうけどな、、、それだけなら止めておけと言ったんだ』



えっ、何?水城さんが、あたしを褒めてる?
えー、やだ、何?そんな褒めてくれたって何も出ませんよ?ついでに担当も増やしませんよ?




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