干物ハニーと冷酷ダーリン
『……なら、今回は見送るか』
「えっ?」
『えっ!』
思わず黒崎さんと言葉が被る。
『…なんだ?』
「いや、あの水城さん。3人ともですか?」
『そのつもりだ。使えない奴を入れても意味ないだろ』
鬼だ。鬼がいる。血も涙もありゃしない。
『水城、それでも1人くらいはなぁ…ほら、女子1人じゃ川本も大変だしな…な?』
黒崎さん、今更あたしの心配ですか!
下心丸見えですよ!
ちょっと必死すぎて、見苦しいですよ!
今まであたしの事、女だと思ったことないくせに!
『……何だよ、川本。そんな冷めた目で俺を見てくれるなよ』
「黒崎さん、よこしまな事考えてません?セクハラですよ」
『いや、俺まだ何もしてないじゃん。川本だって女の子欲しいって言ってただろ?』
「…………はい」
黒崎さんの気迫に負けた。
なんだか、あまりにも必死すぎて可哀想にもなってきた。
でも黒崎さん、彼女たち黒崎さんじゃないんですよ。水城さんなんですよ。