干物ハニーと冷酷ダーリン
「…川本、戻りましたー」
あれから、しこたまどやされた後、無事に入稿し野田さんは担当している先生の所に行くと言って途中で別れた。
『おっ!お疲れー。川本、ちょっとこっちに来てくれー』
資料室からひょっこり顔を出した黒崎さん。
「どうしたんですか?」
資料室には、水城さんが今日来ていた女の子の履歴書を凝視していた。
『どうだ、川本。使えそうな奴いたか?』
水城さんは、履歴書を3枚渡してくる。
高橋さんに西口さん、幸田さん。
根はきっといい子なんだろうけど、編集者としてはなんとも難しい所だ。
「そうですねぇ、どうにもこうにも水城さん次第じゃないですか?」
『……どういう事だ?』
眉間にシワを寄せて、怪訝そうにこちらを見る。全く自分の事になると疎いんだから水城さんは。敏腕編集者も聞いて呆れちゃうよ。
「水城さん次第で、やる気も出るし簡単に辞めたりもするって事ですよ。まぁ、あたしは1人くらい女の子欲しいですけど…」
『なるほどね。女の子の源ってそういうもんだよねー?あるある、そんなラブ展開。でもその標的が水城だもん。俺もいるのに、嫌になっちゃうよ』
黒崎さんは分かったようで、拗ねてしまった。