女嫌いと男性恐怖症

「気持ち悪いことはしたくない。でも、俺も男だったらしい。好きなやつに触れたい。他の男のことなんか忘れさせたい」

 好きなやつって私のことだよね?

 遥はいつもと違うド直球な晶に動揺する。

「今日のアキはなんか変です」

「変か? 嫌か?」

「嫌じゃ、ないけど」

 ッ。こいつ。
 こういう無自覚なところがあるんだ。

「煽ってんのか?」

「あお?」

「いや。なんでもない」

 やばい。
 ちゃんと抑えられるか。

「遥」

「あの、遥って呼ぶのずるいです」

 ハハッと笑うと、もう一度わざと「遥」と呼ぶ。

 諦めた声で「なんでしょう」と返事が聞こえた。

「俺はハルが好きだ。ハルは、どうなんだ」


 しばらく沈黙があった。

 ここまでのことをして、まだばあさんと同列だったら笑っちまうな。

「分からないです」

 まさかの分からないかよ。

 おかしくて、泣けてきそうだった。

「アキのこと好きです、けど、それがアキと同じなのかは分からないです」

 晶は腕の中からそっと遥を離した。
 そして瞳を見つめる。

「ちゃんと目を見て言ってくれ。この際、ばあさんと同列でも構わない。俺が好きだと、言ってくれないか」

 もうなんだっていい。
 明確な言葉が欲しかった。
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