お帰り!フランス人の王子様
「リリー、こいつエイリアン」
「エイリアンじゃないし!」
確かにね、見た目は奇妙だからね…
あまりにも王子が拒否するので
あわびは私の胃袋へ吸い込まれたのでした。
「こんなにおいしいのに、
ルイって偏食だね」
「へんしょく?」
箸で一生懸命魚をむしる王子が
手を止めて、顔を上げた。
「だって嫌いな食べ物多いじゃん。
今回だって全部食べれてないし」
私がそう言うと、王子は箸を置いて、
首を左右に振った。
その動作、欧米人がよくやるやつ。
「食べたくないのは残したらいいよ」
「残したら勿体ないじゃん」
「無理に食べなくてもいいよ。
フランス人はこんな考え方」
「私は食べ物は残さず食べましょうって
言われて育った!」
そうだよ!
今日この夕食が始まってから
王子は好き嫌いばかり。気にしないようにしてたのに、
なんだか火がついてしまった。
「リリー、俺はフランス人。
日本人と同じ考え方じゃない」
「でも、私は日本人!」