ラブリー
我慢って、何のこと?

全く理解ができないんですけど…。

訳がわからなくて目を丸くしているわたしのところに、小宮課長が歩み寄ってきた。

えっ、何ですか?

「なずな」

低くて甘いテナーの声で、小宮課長がわたしの名前を呼んだ。

「えっ、あの…」

気がついた時には彼はすぐ目の前にいて、わたしを見つめていた。

何?

一体何だって言うの?

小宮課長の手が、わたしの頬に触れた。

わたしに触れているその手は、女性のように華奢だった。

「こ、小宮課長…?」

戸惑いながら彼の名前を呼んだら、
「君が好きだ」

小宮課長の唇が動いたかと思ったら、音を発した。

「…はっ?」

わたし、小宮課長に何を言われたの?
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