ラブリー
何が起こったのかよくわからない。

――君が好きだ

小宮課長のその言葉が頭の中で反芻された。

「なずな、君が好きだ」

もう1度、小宮課長が言った。

同時に、彼が言ったことを理解した。

「バカを言わないでください!」

頬に触れているその手を振り払うと、わたしは言い返した。

――ごめん、今は無理なんだ

子供の頃に告白したわたしをそのセリフで振ったくせに、一体どう言うつもりなのだろうか?

今さらになって、好きだと言われても困るだけである。

「君が子供の時から、僕はなずなのことが好きだった」

「なっ…!」

こ、子供の時からって何なんですか!?

その子供のわたしが告白した時、あなたは無理だって言って振ったじゃないのよ!
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