ラブリー
彼は営業3課に勤務していて、キザな性格で独特な口調が特徴的な人だ。

去年の暮れに行われた合同飲み会で顔を見ただけだけど、佐和子は本田さんを“チャラ男をこじらせた”と評していた。

「そ、あの本田さん。

昨日会社を出たら、“総務課の池山さんですよね?”なんて声をかけられちゃって」

「へー」

わたしが仕事で勤しんでいる間にそんなことがあったのか。

「それでどうしたの?」

続きを促したら、
「そうですって返事をしたら、“去年の暮れからあなたのことが好きでした”って告白された」

佐和子が続きを話した。

「それで、佐和子は何て返事をしたの?」

美人でスタイルもよくて、性格的には特に問題はない。

男言葉で話していると言うのがマイナスかも知れないけれど、宝塚の男役だと思えばそれもいいところだ。

「断った」

佐和子はそう言い返すと、お冷やを口に含んだ。
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