ラブリー
ただお冷やを飲んでいるだけなのに、それを上品だとわたしは思った。

まるで優雅に紅茶を飲んでいるみたいだ。

「えっ、断ったって…」

そう聞き返したわたしに、
「違う部署だから知らないし、と言うか去年の飲み会で1回だけ顔をあわせただけじゃん。

それで“好きだ”とか何とか言われても困るし」

佐和子は呆れたと言うように息を吐いた。

「もう少し言うならば性格が無理、はっきり言って受けつけない」

美人って、本当に得だね。

男を選び放題なのはもちろんのこと、その男に対して毒を吐いているその姿も美人だよ。

「じゃあ、佐和子はどんな男がタイ…」

「お待たせしましたー」

言いかけたわたしをさえぎるように、店員が注文した料理を運んできた。

わたしの前には和風パスタ、佐和子の前にはナポリタンが置かれた。
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