ラブリー
初めての恋は、彼のその一言によって無残にも砕け散った。

その一言が原因で、わたしは恋に臆病になった。

無残にも砕け散った初恋のせいで、次の恋へと踏み込めなくなった。

それは大人になった今でも相変わらずである。

「子供の頃に顔をあわせていた幼なじみが今は上司と部下って言うのは何か変な感じだな」

そう言った三平の声に、わたしは我に返った。

「そうかな?

わたしは上司と部下だと思って割り切ってるけど」

アハハと、わたしは笑いながら言い返した。

わたしが今の会社に入社したのは、第1志望の会社から内定をもらえなかったからだ。

第2…いや、第3志望だったかはもう覚えていないけれど、入社した当時は小宮課長は別の部署で勤務していたため、滅多なことがない限り彼と顔をあわせることはないだろうと思っていた。
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