ゆるゆる監禁生活
何かあった時のため、と交換された連絡先は主に私が暇だから、という理由で頻繁に使われている。


あっちが大学の講義中だろうが関係ない。


私が暇だと言ったら構ってもらわないと困る。


だってこんな状況を作ったのは智也先輩なんだから。


こんな自己中心的な私に構ってくれる智也先輩はかなり良い人なんじゃないか。


人を誘拐しなければ。


おかげで夏休みの友達との予定は全てダメになった。


街でばったり会っても言い訳が出来るように、従兄弟の家に泊まる、とナイスな嘘をついておいた。


と、自分では思ってたんだけど、そういえば智也先輩同じ高校だったし、結構有名人だったらしいし、全然ナイスじゃなかった。


遊ぶ約束をしていた友達全員に言ってから気づく私お茶目だなぁ。



「……暇だ」



智也先輩の持っている数少ない小説や漫画はもう読み終わったし、テレビも面白くない。


借りてきてもらった映画も見終わった。



「……宿題でもやりますかぁ」



そうと決まったらすぐさまベッドから脱出し、一緒に誘拐されたリュックちゃんの中から宿題を取り出す。

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