完璧執事の甘い罠


「ジルと、こういう風になれて、こうして少しの間でも恋人同士になれる時間があるだけで幸せだってわかってる。それでも、一度だけでもデートがしたい」




この時間も、きっともうすぐ終わってしまうから。
最後に、思い出として持っていきたい。

それで、ずっとずっと忘れないで覚えておくの。




「ジル・・・、ダメ?」

「・・・護衛を一人もつれないというのは、厳しいと思います。私は一執事ですし、護衛の役割は果たせませんから」

「でも、この間の戦では前線に出ていたじゃない」

「それは・・・、私の勝手を王様が許可してくださったからで・・・。実際にそんな権限はないのですよ」

「わかってるけど・・・」



やっぱり、無理なのかな。
ほんの数時間、ううん、1時間もなくてもいい。
少しでもデートの時間がとれるなら。



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