完璧執事の甘い罠


「その騒ぎに乗じて、キミはここを出るんだ。アルバーナの姫としてではなく、ただのひなとして」

「え・・・」

「外に馬車を控えさせている。行先も、伝えてある。キミは、なにも考えずその馬車に乗りたどり着いた場所で待てばいい」





どうして・・・。
どうして、エリックさまがそんな事をしてくれるの。
私を、ここから逃がしてくれようとしている。




「でも、私・・・、一人でどうやって生きていけばいいか・・・。アルバーナに帰れないのなら、私の居場所はもうどこにも・・・」

「大丈夫。大丈夫だから。僕を信じて。キミの悪いようにはしない。僕は、キミの幸せを願っているからね」




優しい手が私の頭を撫でる。
どうしてこの人はこんなにも、私を優しく包んでくれるのだろう。
私は好きになることはできないのに。




「どうして・・・。私、エリックさまになにも・・・」

「キミは、僕に国を護るということはどういう事かを教えてくれた」

「え・・・」

「キミが、国を護るためにダリウスに渡ったと聞いて驚いた。どれほどの覚悟だったのだろうかと」




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