副社長は束縛ダーリン
「何度も、ごめんなさい!」
慌てて謝る私に、彼女は口元だけに笑みを作り、「気にしないで」と、今度は無視せずにありがたい言葉をかけてくれた。
しかし、その後に続くのは……。
「リズム感がないのって、先天的要因が大きいと思うわ。だから、鈍くさくても、邪魔になっても、あなたのせいじゃないわよ」
思いっきり、悪口を言われた気がするのは、気のせいじゃないよね?
その通りだから、否定はしないけど……。
アップテンポの曲に乗って、前と左右の人にぶつかりそうになりながら、汗を流す私。
インストラクターの動きだけに集中したいのに、その後ろの壁一面の鏡に、視線が奪われてしまう。
鏡の向こうにもエアロビクスに励む集団がいて、その中で大人美人の彼女は、インストラクターよりも目立っていた。
動きにキレがあり、リズム感が抜群。
振りも完璧で、なにより長身でスタイルがいいから、見栄えがする。
それに引き換え、私はというと……一番下手くそなのは明らかだ。