副社長は束縛ダーリン

参加者の中には、六十代後半に見える女性もいた。

私より遥かに歳上の女性でも、お手本通りに踊っているし、それが大変そうな様子もない。

それにスリムな体形で、私より体脂肪が低く、筋肉量が多そうにも見える。

中年の男性もふたりいるけれど、彼らも私よりずっと様になっていた。


おかしいな……。

昨日は下手なりに、楽しく前向きに踊ることができたのに、今日は心が沈みそうになる。

痩せて自信をつけたくて通い始めたのに、自信を失ってどうするのよ……。


これではいけない。

元気に明るく前向きに、と自分に言い聞かせ、四十分のエアロビクスが終了した後は、二階へ移動する。

そこはフィットネス機器の並ぶ広い空間で、年齢層様々な男女が大勢、汗を流していた。


人気があるのはランニングマシンで、壁際に十台が並んでいる。

私も使いたかったけれど、どれも使用中。

残念に思って後ろを通り過ぎようとしたら、運よく、そのうちの一台が空いた。

< 125 / 377 >

この作品をシェア

pagetop