副社長は束縛ダーリン

中高生のときは、合唱部に入っていた私。

文化系の部活なのに、なぜか週に二回ほど校庭を走らされた記憶がある。

あの頃の私なら、このくらいのスピードでも校庭二周は走れたと思うけれど、運動習慣のなくなった今の私にはかなりキツイ。

すぐに息が上がって、足が重たくなってくる。


つられてスピードを上げたことに後悔しつつ、彼女のマシンの画面に視線を向けると、そこには見たことのない景色が広がっていた。

数分遅れで始めた彼女に、私はアッサリと抜かされたということだ。


悔しいと思ったけど、なぜ悔しがる必要があるのだろうと疑問も湧く。

私の目的はダイエットであり、誰と競う必要もないのに。


そうよ、つられては駄目。

ペースを落とさなくちゃ……と思ったら、久しぶりに酷使した足がもつれてしまい、マシンから滑り落ちて、後ろにひっくり返ってしまった。


とっさに受け身を取って、頭を打ちつけはしなかったけれど、背中には結構な衝撃があり、痛みに呻いた。

しかしそれよりも、大股開きの足を高く上げたこの姿勢が恥ずかしすぎる。


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