副社長は束縛ダーリン
メールするという親しげな言葉と、私の頭をポンポンと叩く特別扱いに、思わず私の頬はポッと火照る。
彼と見つめ合い、微笑みを交わしていたら、秘書の呆れたような声がする。
「副社長、急ぎませんとお時間が」
これからどこかに出かける様子の悠馬さんは、振り向かずに「ああ」と応えて、私から離れて歩き出す。
後ろ姿も格好いいと見とれながら、手を振っていたら、後ろについて歩く秘書が、顔だけこっちに振り向いた。
ジロリと睨まれて、私は肩をすくめる。
そうだ、悠馬さんは副社長なんだから、手を振るんじゃなくて、頭を下げるべきだった。
社内では上司と部下なんだから、ちゃんとしないと……。
十三時からの開発部会議は、四十分が経過して、もうすぐ終わろうとしているところだった。
広い会議室には四十人ほどが五列の長机に向かって着席し、発表者の野田さんがいる二班は全員。他の班と課からは数人ずつが出席していた。