副社長は束縛ダーリン

野田さんは緊張した面持ちで、プレゼンに使用したプロジェクタースクリーンの前に立ち、結果を待っている。

先ほどまで、野田さんのレシピについて様々な意見が出されていて、今は前列に座っている係長職以上の開発部の上司たちが、小声で相談中。


私は三列目のドア側、端っこの席で、野田さん同様、緊張しながらお沙汰を待っていた。

どうか、野田さんのレシピが、商品化に結びつきますように……。


しかし、願いは虚しく部長の厳しい評価を聞くこととなる。


「味、製造ライン、コストをよく考えて作られたレシピであったが、四年前に三ヶ月で発売中止となった、きのこソース付きコロッケと似た印象を受ける。
これは購買層が限定されすぎて利益が出ないだろう。
消費者が冷凍コロッケになにを求めているのかを、野田くんは再考した方がいい」


「はい」と返事をして、項垂れる野田さん。

このレシピを形にするために、コロッケ作りを少しだけ手伝ってきた私も、一緒に肩を落とした。

厳しいね……。

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